【スペック】
メーカー:crosszone
発売年:2016年
再生周波数帯域:不明
参考価格:275,000円
形状:密閉型
特記事項:3ドライバー構成、ART機構(前方定位)
【評価】
音質:90点 装着感:4 遮音性:2 音漏れ:2 デザイン:5 携帯性:1
オススメ度:2
【総評】
音の傾向はかなりフラット。低音は締まりも深さも十分にあるのだが、普通のヘッドホンのように直接鼓膜を打つような感覚が無いので迫力がありながらも聞き疲れしにくい。中音域は独特。篭っているわけではないのだが、とにかく響きが多く不思議な感覚。音の艶はかなりのもの。高音域は硬質でキンキンと刺さる。ベリリウムコーティングドライバーだからだろうか。クリアさは中々良い。独特な音場感に惑わされがちだが、音の要素一つ一つに目を向ければかなり明瞭なことが分かる。音の鮮度(解像感)はそれなり。管弦の表現は素晴らしい。弦楽器は原音忠実というわけでは無いが、たっぷりの艶で心地よく聞ける。管楽器は余裕のある音場の中でのびのびと鳴らしてくれる。解像度はかなり高いが値段なりかと言われると微妙。音場表現はこのヘッドホンの一番の特徴で、明確な前方定位。色々なヘッドホンを聞いてきたが、この音場感を持つヘッドホンはcrosszoneシリーズ以外では見たことがない。音色はニュートラル。切れ・スピード感は微妙。音圧は弱め。聞き疲れは少ない。
ヘッドホンの弱点とはなんだろうか?色々あるだろうが、一番はその音場感だろう。ヘッドホンはどうしても耳のすぐそばにドライバーをくっつけて音を出す形式のため、頭内で定位してしまう。これは自然界ではありえないことで、それに拒否反応を起こす人もそれなりにいるだろう。そこで様々なメーカーがヘッドホンの頭内定位を解消するために努力した。今回レビューするcz-1を作ったメーカー、crosszoneは現実でのスピーカーの音の出し方、それが耳に届くまでの時間などを計算し、複数のドライバーの搭載で音が出る時間をややずらすことにより疑似的な前方定位を狙った。結果としてそのやり方はほぼ成功と言え、実際に聞いてみても自然な前方定位と高音質の両立が出来ていた。しかしまだまだ課題もある。新作に期待していきたい。
☆cz-1の良いところ
・自然な前方定位
・前方定位と両立した高音質(これまでの前方定位系のヘッドホンは効果が弱いか音質があまり良くないかのどちらかが殆どだった)
★cz-1の良くないところ
・音質に対して値段が高い
・リケーブルの選択肢が少ない
・筐体があまりに大きい
【装着感】
大きく重いが、装着は苦にならないように様々な工夫がされている。しかし重い。
【その他】
遮音性・音漏れともにあまり期待しない方が良い。デザインは良い。30万円近い価格に何となく説得力を持たせるような高級感がある。携帯性は無い。あまりにも大きい。後継機はいくつか出たが、初代もまだ現役かつシリーズで一番効果。どれも前方定位の効果が強く面白い。普通のヘッドホンの音が苦手な人は試してみると楽しいと思う。
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