seven_headphoneのブログ

ヘッドホンはお好きですか

shure srh1840のレビュー

【スペック】
メーカー:shure
発売年:2012年
再生周波数帯域:10Hz~30000Hz
参考価格:66220円
形状:開放型
特記事項:モニターヘッドホン
【評価】
音質:88点 装着感:5 遮音性:1.5 音漏れ:1 デザイン:5 携帯性:2.5
オススメ度:5
【総評】
 音の傾向はかなりフラット。低音はしっかり低いところまで出ているが、量感は多くない。どのような音が出ているか、という情報を観察しているような感覚。中音は色付けのない素直な音。がさつきや艶などが無く、スッと耳に染み渡るような音。高音はこれまた素直にスッと鳴る。刺さる音を無理に丸めることもしないため、音源によっては高域が刺さることもある。解像度は値段なりに高い。現行の7万円付近の機種と比べても見劣りしない。管弦の表現は良い。弦楽器・管楽器ともにその楽器の持つ音の魅力をそのまま出してくれる感じ。音場表現
は優秀。抜けが良く立体感があり、一瞬スピーカーで聞いているかと錯覚を起こすこともあった。音色はニュートラル。キレ・スピード感は普通。聞き疲れのしやすさは普通。

 究極のナチュラサウンド、水道水のような音、ピュアサウンド…これらは実に様々なイヤホン・ヘッドホンに付けられる称号であり、オーディオにおけるある種の理想とも言えるだろう。私はそんな機種を購入したり試聴したりと色々経験してきたが、納得の行くものは殆ど無かった。そのような試行錯誤の果て、私はこのヘッドホンに辿り着いた。srh1840はこれでこそニュートラル、ナチュラル、無味無臭と呼ばれるにふさわしい音だと感じた。何から何まで過不足の無い音といった感じで、基本性能もかなり高い。装着感も良い。そのため、”音を見る”という用途には当然向いているし、”音のバランスとか味付けとかそういったオーディオ的な事を忘れてただ音楽の楽しさ・美しさに浸る”という目的にも向いている。オススメ。
☆srh1840の良いところ

・全てが満遍なく整っている

・装着感が良い

・空間表現が優秀

★srh1840の良くないところ

・濃い味付けが好きな人には物足りないかもしれない
【装着感】

 軽く、側圧が丁度良い。何時間でも付けていられる。
【その他】
 遮音性は・音漏れ耐性は皆無。デザインは良い。剛性のある金属パーツが多用してあり道具として信頼できる。また、中のドライバーを見ることができて楽しい。携帯性は普通。

srh1840:https://amzn.to/43xBYnB

12年以上shureのフラッグシップであり続けるだけの実力はあります

 

sony mdr-z1000のレビュー

【スペック】
メーカー:sony
発売年:2010年
再生周波数帯域:5Hz~80000Hz
参考価格:61950円
形状:密閉型
特記事項:液晶ポリマー振動版
【評価】
音質:86点 装着感:4.5 遮音性:4.5 音漏れ:.2,5 デザイン:5 携帯性:3
オススメ度:4
【総評】
 音の傾向は高音寄りの弱ドンシャリ。低音は控えめだが適度な厚みと沈み込みがあり、何より独特の柔らかい質感が心地良い。中音は明瞭だが、僅かに擦れや上擦りを感じる独特の質感で落ち着かない。高音はまろやかでやや丸みのある音だが、詰まりやこもり感はなく、光沢のある絹のような生地を想起させる音。解像度は値段なりに高い。特に分解能が際立っているため、細かい表現もよく見える。管弦の表現は中々良い。弦楽器は音源をそのまま実直に引き出すような感じ。管楽器は明るく豊かに響き、聞いていて楽しい。音場は立体的だがかなり狭い。頭内で音楽が展開されるような感覚で、アトラクションのような楽しさがある。音色はやや暖色系。キレ・スピード感は中々。音の柔らかさは気になるが、分離の良さからよく聞こえる。聞き疲れはしやすい。

 ソニーのかつてのフラッグシップモニターヘッドホン。音場が狭くて分解能が高い、THEモニターヘッドホンといった感じの音。近い音の機種としてはyamahaのhph-mt8などが挙げられるが、あちらは全帯域に渡って神経質でドライな音であるのに対し、z1000は量感は少ないが質の良い低域、近くて神経質な中音域、まろやかで美しい高音域で構成された独特のバランスで、リスニング目的にもモニター目的にも使える。ソニーの原音忠実の解釈を煮詰めたような機種だと思う。没入感の高さが癖になる名作モニターヘッドホン。

☆mdr-z1000の良いところ

・分解能が高い

ソニー特有のヌメっとした質感で何だか心地良い

・独特の音場感が楽しい

★mdr-z1000の良くないところ

・音が近すぎる

・自然ではない
【装着感】

 良好。他では見ない形のイヤーパッドが耳をすっぽりと覆う。
【その他】
 遮音性はかなり高い。多分イヤーパッドの形状のおかげ。音漏れは結構ある。大きめのベント穴のせいだろう。デザインは遊びや飾り気のない剛健なデザイン。携帯性は普通。折りたためないが、比較的小型。

 廃盤。現行モデルはmdr-m1stなど。

mdr-m1st:https://amzn.to/4h4jwWM

sonyの原音忠実に対する解釈が見えるヘッドホンです

 

diskwasher PRO-80のレビュー

【スペック】
メーカー:diskwaher
発売年:不明
再生周波数帯域:不明
参考価格:2000円
形状:密閉型
特記事項:チタニウムコーティングドライバー
【評価】
音質:58点 装着感:2 遮音性:2 音漏れ:1.5 デザイン:1.5 携帯性:2
オススメ度:1
【総評】
 音の傾向はかなり高音寄り。低音はビックリするほど重低音が出ない。中低音は辛うじて出ているが、ポスポスと力感のない音。中音は非常に線が細く鮮やか。高音はかなり出ているが、線が細すぎて刺さりもしない。解像度は5000円前後ヘッドホン相当。管弦の表現は独特。弦楽器は何を聞いても別の楽器のように感じる。管楽器も同様。音場は非常に狭いが、音抜けは良い。音色は寒色系。キレ・スピード感は悪い。弱々しい音。聞き疲れのしやすさは普通。

 diskwasherという謎のメーカーのヘッドホン。多分レトロヘッドホン。「高音寄りで線が細い」を極めたような音。ヘッドホン版ue900sといった感じ。良くも悪くもDDヘッドホンから出る音とは思えない。大抵の楽曲はまともに聞けないが、一部の中高音主体で構成された曲などはフワフワした浮遊感があり夢を見るような心地よさがある。だが、装着感が悪い上、恐ろしく鳴らしづらい(k340よりも鳴らしづらく、se700よりはマシ 手持ちで2番目に鳴らしづらい)ので使い勝手は最悪に近い。基本的にオススメしない。

☆pro‐80の良いところ

・綺麗で鮮やかな中高音

・軽やかな音

★pro-80の良くないところ

・恐ろしく鳴らしづらい

・音のバランスが破綻している

・曲をかなり選ぶ
【装着感】

 微妙。軽いがやたらと側圧が強い。
【その他】
 遮音性はほぼない。音漏れは密閉型と思えないほど多い。デザインは殺風景な感じ。携帯性は微妙。折りたためないし、華奢なので持ち運んでる最中に簡単に折れそう。

チタニウム黎明期の珍獣です



tinhifi p2plusのレビュー

【スペック】
メーカー:tinhifi
発売年:2021年
再生周波数帯域:10Hz~20000Hz
参考価格:69900円
形状:カナル型
特記事項:金属筐体、平面駆動ドライバー
【評価】
音質:91.5点 装着感:3.5 遮音性:1.5 音漏れ:3 デザイン:2 携帯性:3
オススメ度:5
【総評】
 音の傾向は弱ドンシャリ。低音は素晴らしい。厚みと圧と深さを伴いギチギチに締まった最高の低音。中音は透明感が非常に高いのに線の細さは感じず、適度な厚みがあり聞きごたえがある。高音は独特。サ行の刺さりなどは感じないのだが、超高音域がとにかく刺激的に主張する。解像度は価格を考えてもかなり高い。ハイエンドイヤホン(10万円~)の水準に達している。管弦の表現は素晴らしい。弦楽器は繊細な表現も力強く弦を擦る様子も良く分かる。管楽器はどれも開放的かつ丁寧で優れた表現に感じるが、特に金管楽器が金属的な音色を載せて力強く豪快に吹き上げる感じで生々しい。音場感は素晴らしい。非常に広く立体的で、上の価格帯を見てもここまで音場表現が上手いイヤホンはそう無い。音色は寒色系。キレ・スピード感は素晴らしい。低域のキレが最高だし、全帯域に渡ってレスポンスが良い。聞き疲れはソースによってはかなりある。

 tinhifiのフラッグシップ。各帯域の質、解像度、音場感…全て価格帯の水準を超えており、fw10000程の表現力は無いにしろ、手持ちの10万円前後のイヤホン(se846、k3003、hs1697ti)辺りとは良い勝負になる。欠点を上げるとするなら、凄まじく鳴らしづらい(dt880という250Ωのヘッドホンと同じくらい)ことと、超高音域が目立つことだろう。しかしこのイヤホンはそれらを考慮したとしてもかなりコストパフォーマンスの高い製品だ。オススメ。

☆p2plusの良いところ

・価格を超えた基本性能

・躍動感があり楽しい音

・音場表現が優秀
★p2plusの良くないところ

・極めて鳴らしづらい

・超高音域が刺さる

・風変わりなデザイン
【装着感】

 悪くはないが、モニター系のイヤホンのように耳にググっと押し込むことが出来ないのでイヤーピース選びをしっかりする必要がある。筆者はfinal type eを使っている。
【その他】
 遮音性はあまり無い。音漏れは音抜けの良さと音場の広さの割には少ないが、多少は漏れる。デザインは金メッキ+中央に爪やすりのような意匠。いかにも中華イヤホンといった感じで、初めは興味も持たなかったが、聞く機会があって試聴してみたら凄まじく音が良く仰天した。このイヤホンは凡庸な見た目で損をしていると思う。携帯性は微妙。ケーブルの取り回しが悪い上、このケーブルは替えの効かない特殊なものなので取り回しが良いケーブルと交換することも難しい。

 廃盤。後継機はまだないが、同社の現行の平面駆動ドライバー搭載イヤホンにはp1maxなどがある。

p1max:https://amzn.to/41dmtyc

平面駆動の旨味が詰まった名機です

 

shanling h7のレビュー

【スペック】

メーカー:shanling

発売年:2023年

参考価格:95000円
形状:ポータブルDAC AMP

オススメ度:4.5

特記事項:6.3mm&3.5mm端子搭載、AK4499EX+AK4191EQ搭載、RCA出力、ローカルファイル再生機能、Bluetoothレシーバー機能

【各観点の評価】

・スタミナ…普通。アンバランス接続で10時間、バランス接続で8時間と長くも短くもない。

・音質…傾向はやや高音寄り。低音は控えめだが、締まった深みと圧のある音。中音は透明感が高く味付けの少ないピュアな音。高音はフワッと緩やかに伸び広がる感じ。イヤな音が出ない。解像度はかなり高い。同価格帯のDAPは超えているように思う。音場感は良い。横の広さも奥行きも十分感じられるし、空気感をよく感じる。音色はニュートラル。

・出力…中々良い。アンバランス接続でもhd800やT60RP、k340のような鳴らしづらいヘッドホンの音量を取ることが容易。駆動力もそこそこある印象。

・端子…3.5、4.4㎜端子だけでなく6.3㎜端子まである。おかげで変換アダプターを使わなくても色々なヘッドホンを繋げて遊べるので非常に便利。

・機能性…特記事項に書いたように中々に多彩。まず、3段階ゲイン切り替え、Bluetoothレシーバー機能、光デジタル/同軸デジタル入力といった最近のポータブルDAC AMPのトレンドはある程度抑えている。その上でh7くらいにしかない機能が幾つかある。まずはRCA出力だ。これをポータブルdac ampが搭載しているのはかなり珍しい。前述の通り旭化成最新dacチップを搭載しているので、様々な場所で安定して高品質なDACを使えて便利。次にローカルファイル再生機能。これは要するにh7にsdカードを差し込むとh7単体で音楽を再生できるという機能だ。加えて、スマホのアプリと連動してh7を操作する機能があるのでDAPのように使うことも出来る。

 価格…95000~110000円。ショップによって多少上下するようだ。価格帯的にはfiioのQ7、ifiのmicro idsd sigature辺りが競合機種となるだろう。

【総評】

 最新のdacチップとそれを利用しやすいライン端子、まあまあな出力のアンプ、疑似的なDAP機能を備えた意欲作。老舗のshanlingらしく完成度は高い。だが一方、fiioのdac ampが搭載しているようなac電源を利用したバッテリーを消耗させないデスクトップ機能、fiioのmicro idsdのような馬鹿げた出力などは無く、ライバル達を引き離す決め手に欠ける。後継機にはそれらが備わっていると嬉しい。

☆shanling h7の良いところ

・そこそこの駆動力とバランスの良い音

・高性能DACの搭載とそのライン出力が可能

・ローカルファイル再生機能(他メーカーでは中々見ない)

★shanling h7の悪いところ

・出力はライバルに劣る

・筐体が大きくて携帯性は微妙

・デスクトップモードが無い

h7:https://amzn.to/439PoGa

多芸な機種は好きです

 

ultimate ears ue900sのレビュー

【スペック】
メーカー:ultimate ears
発売年:2014年
再生周波数帯域:20Hz~20Hz
参考価格:37000円
形状:カナル型
特記事項:4ba
【評価】
音質:75点 装着感:4 遮音性:4 音漏れ:4.5 デザイン:3 携帯性:3.5
オススメ度:4
【総評】
 音の傾向は弱かまぼこ。高音寄り。低音はバッサリ重低音がカットされているような感覚。中低音はそこそこ出ているが、主張が弱い。中音はこの機種の一番の強み。曇りやにじみが全くなく非常に鮮やかな中音が至近距離で鳴る。高音は繊細でしゃらりとした質で抜けが良い。解像度は値段なり。管弦の表現はかなり良い。弦楽器は線が太く力強く聞かせてくれる上、必要十分な繊細さも持ち合わせている。管楽器は鮮やかで美しい。音場は狭い。基本的にどの音も近い。音色は寒色系。キレ・スピード感はかなり良い。重低音がカットされている分、もたつきを感じにくい。聞き疲れのしやすさは普通。

 ueのかつてのフラッグシップ。ultimate earといえば濃厚で音場が狭いことで有名(TF10PRO、LIive to Goなど)だが、ue900sはサッパリしていて音場が狭い。その上ピーキーさや聞き疲れはそこまで無く、このイヤホンでスラッシュメタルを聞くと非常に気持ちが良い。また、明るく分解能が高いのでPOPSとの相性もかなり良い。重低音が全くといって良いほど出ないのでこれ一本で何でも聞きたいという人には勧めがたいが、サブ機として一本持っておくと楽しいタイプ。個人的にはかなり好きな音。

☆ue900sの良いところ

・サッパリとした音

・キレが良い

・明るく楽しい音

★ue900sの良くないところ

・重低音が出ない

・聞くジャンルを割と選ぶ

・自然な音ではない

【装着感】

 一度耳に収まってしまえば快適なのだが、フィットするまでぐりぐりと耳に押し込む必要があり、それが面倒。

【その他】
 遮音性は中々良い。音漏れは少ない。デザインは質素(何なら所有している個体は塗装が剝げてしまっている)携帯性は悪くないがケーブルの取り回しが微妙。

 廃番。現行のUEの4baはue11pro。

ueの異端児です

 

SONY nw-zx100のレビュー

【スペック】

メーカー:SONY

発売年:2015年

参考価格:67000円
形状:デジタルオーディオプレーヤー

特記事項:最大70時間再生、物理ボタン

オススメ度:4.5

【各観点の評価】

・スタミナ…バッテリー持ちは非常に素晴らしい。mp3音源だと何と70時間も保つ。

・音質…傾向はカラッとした弱ドンシャリ。低音は塊で出してくる。中音は少し引っ込んで乾いた音。高音は素朴でストレートに出てくる感じ。解像度は値段を考えると低い。音場は狭いが不思議と窮屈さは感じない。カラッとした音だからだろうか。音色は寒色系。何でも元気めに鳴らしてくれる印象。ソニーらしい音の艶やヌメっとした質感はあまり感じない。総合的に見て、zx100のアンバランス接続の音はzx707以上wm-1am2未満といった感じだ。

・出力…スペック上は非常に貧弱だが、低音が元気よく鳴るので不満を感じにくい。イヤホンは勿論、ちょっとしたポータブルヘッドホン程度なら鳴る。

・端子…3.5のみ。アンバランス派の私としてはこの潔さには好感が持てる。

・動作…特別上等なcpuを積んでいるわけでもない古い機械なのに驚くほどサクサク動く。独自OSの恩恵だろうか。

・価格…当時は67000円とそこそこ高価だったようだ。現在でいうzx707のような立ち位置だろうか。

【総評】

 途轍もないバッテリー持ちの良さと元気の良い音とウォークマンらしい使いやすさが強みのオーディオプレーヤー。なにかと使いやすいのだが、物理ボタン搭載ウォークマンはこの次のモデル、zx300を最後に出ていない。zx300はバランス接続に対応するようになったが、バッテリー持ちがかなり悪くなった上、アンバランス接続の音はzx100以下という噂を聞く。アンバランス接続の音がそこそこ良く、バッテリー持ちが非常に良く、動作が快適でコンパクトというある種旧式の携帯音楽プレイヤーの完成形と呼べるような名機。中古が枯れる前に拾っておくことをオススメする。

☆zx100の良いところ

・途方もなくバッテリー持ちが良い

・現行の中級ウォークマンに勝るアンバランス接続の音

・音楽再生に特化した機種で動作が快適。

・コンパクト

★zx100の悪いところ

・バランス接続は出来ない

・インターネットと繋がらない

・wmポートという特殊端子

 廃盤。後継機は色々あるが、現在発売されているのはzx707。

zx707:https://amzn.to/4k5L80c

アンバランス派にとってのウォークマン最高傑作です