【スペック】
メーカー:64AUDIO
発売年:2018年
再生周波数帯域:10Hz~20000 Hz
参考価格:329,000円
形状:カナル型
特記事項:12ドライバー、tia technology、apexモジュール(レビューではm15を使用)
【評価】
音質:93点 装着感:3.5 遮音性:4.5 音漏れ:4.5 デザイン:4 携帯性:4
オススメ度:5
【総評】
音の傾向はかなりフラット。低音はしっかりとした厚みがありつつもタイトでソリッドに鳴り、聴きごたえのある”効く”低音。サブベースまで出るが、どちらかというとミッドベースの主張が強い。中音は非常に滑らかかつクリーンで、仄かに温かみもある素晴らしい音。かなり近いところで鳴るような印象。高音は粒立つような繊細な音。精緻なガラス細工のような印象で、つい聞き入ってしまう。解像度は恐ろしく高い。手持ちのイヤホンでは最も高いし、現行の30万円前後のイヤホンと比べても負けてはいないように感じる。管弦の表現は中々良い。弦楽器はこのイヤホンが持つ高い基本性能のまま飾り気無くスッと鳴らす印象。管楽器、特にブラスはtiaテクノロジーの恩恵か、鳴りっぷりの良い音。音場は広くも狭くも無いが、apexモジュールという空気圧の解放を目的とした部品のおかげで、抜けの良さを感じる。音色はニュートラル。キレ・スピード感はかなり高い。音圧は標準。聞き疲れは少ない。
ハイエンドイヤホンに求めるものはなんだろうか。圧倒的な長所?バランスの良さ?豪華な音?人によってその答えは様々だろう。私は今年、k3003,xelento remote,ha-fw10000,hs1697tiと個性豊かなハイエンドモデルを揃えてきたが、最終的に私はイヤホンに万能さを求めた。今まで聞いてきたイヤホンの中で最も理想に近いイヤホンを挙げろと言われたらこの機種、u12tを挙げる。クッキリとしつつ軽く弾むような質の良い低域、鮮やかで滑らかで粗の無い中音域、精緻に整った高域、広すぎず狭すぎず閉塞感の無い音場間。u12tは所謂優等生、器用貧乏と呼ばれるタイプのイヤホンなのだと思う。しかし、u12tを手にし、私のイヤホンへの欲求はほぼ完全に満たされた。今後新たにイヤホンを入手することもあるかもしれないが、u12tは私のオーディオの一つのマイルストーンであり続けるだろう。
☆u12tの良いところ
・適度な重みと締まりを備えた実在感のある低域
・生々しく晴れやかな中音域
・精緻な高音域
・適度な広さで狭苦しくない音
★u12tの良くないところ
・最上級のダイナミックドライバーのような力強く響く実在感のある低域ではない
・尖った強みは無い
・ボーカルが近すぎるかも知れない
・わずかに金属的な響きが乗る
【装着感】
12個もドライバーが入っているわりには小型だが、特別装着感が良いわけでもない。普通。
【その他】
遮音性はかなり高い。地下鉄での使用にも耐える。音漏れは少ないほうだと思う。デザインは地味だが確かな品質の高さを感じる。とても30万円もするようなシロモノには見えないが、そこも好き。携帯性は普通。