seven_headphoneのブログ

ヘッドホンはお好きですか

FOSTEX TH500RPのレビュー

【スペック】

メーカー:FOSTEX

発売年:2014年

再生周波数帯域:20Hz~30000Hz

参考価格:74000円

形状:開放型

特記事項:RP振動板、レビューではmicro idsdで駆動

【評価】

音質:87点 装着感:4 遮音性:2 音漏れ:2 デザイン:3 携帯性:1.5

オススメ度:2

【総評】

 音の傾向は弱カマボコ。低音はやや厚めだが深さはあまり無い。その代わりにレスポンスが速い印象。ボンボンするのに音が早く引くので不思議な感覚。中音は素晴らしい。柔らかく温かみがありホッとする。また非常に滑らかな音で、前述の特徴も相まって他のヘッドホンでは中々聞けない芳醇な音となっている。高音は微妙。刺さらないのは良いが、ロールオフが露骨すぎて音源によっては曇ったように感じる。解像度は中々高い。下位機種と比べてみても微細な音・表現を描写出来ているように思う。ただし分解能は恐ろしく低く、音がまとまって聞こえる。特に音が派手な機種というわけでもないのでそれを長所に変換できずにただダンゴに聞こえてしまうのは残念。管弦の表現はそれなり。弦楽器は必要以上に太く鳴らす所が少し気になるが、響きや質感の表現は悪くない。管楽器は力強さに欠けるが、その分丁寧さがありこれはこれで良い。音場は良い。前後左右に余裕があり、窮屈さがない。ここはこの価格帯のヘッドホンでも上位だろう。音色は暖色系。キレ・スピード感は普通。音のレスポンスは良いが、キレや圧のある表現がもう少し欲しい。聞き疲れは皆無。

 FOSTEXのかつての平面駆動型フラッグシップ。7.4万円とそこそこ良いお値段がするヘッドホンで、ライバルには(当時の価格だと)k812・dt1990・srh1840辺りがいる。音的には500RPはかなり独特で、まず音場表現と中音域の質、解像度は価格を考えても優秀なのだが分解能と高音域の表現がライバルたちと比べると微妙で、トドメとばかりに不思議な低音が合わさることにより爽快感のないじっとりした音になってしまった。この音は一般には受けなかったようで、不人気・失敗作などの烙印を押されてしまった。なんというかhd650の長所と短所を誇張したような音で、能力は高いがクセの強さ故に不遇なヘッドホン。基本的に無試聴での購入は全くオススメできないが、駆動力の高いアンプを所有していて尚且つ心が溶けるような極上の中音域を味わってみたい…という人には是非試してみてほしい。

☆TH500RPの良いところ

・優れた音場感

・高い解像度

・癒される音

★TH500RPの良くないところ

・低すぎる分解能

・爽快感が無い

・アンプのパワーを要求する

【装着感】

 良い。370gとそこそこの重さはあるが、ヘッドバンドが重さを分散して快適。

【その他】

 遮音性と音漏れについては開放型に期待しないほうが良い。デザインは普通。特に高級感は無いが、安っぽいとも思わない。携帯性は悪い、大きい。

 

廃番。後継機はth1100RP。

th1100rp:https://amzn.to/3Uo9lmT

不遇の迷機です

 

FOSTEX TH900 mk2のレビュー

【スペック】

メーカー:FOSTEX

発売年:2016年

再生周波数帯域:5Hz~45000Hz

参考価格:275000円

形状:密閉型

特記事項:ウッドハウジング、漆塗り、テスラドライバー

【評価】

音質:95点 装着感:4.5 遮音性:2 音漏れ:2.5 デザイン:5 携帯性:3

オススメ度:3

【総評】

 音の傾向はドンシャリ。低音は最低音をグッと持ち上げるような重みのある質。立ち上がりも収束も良いが、量感が多いためややブーミーに聞こえるのが惜しい。同時にそれがこのヘッドホンの魅力に一つだとも感じる。中音は低音の量感の割に驚くほどの透明感があり、綺麗だが明るく上擦ったような色付けを感じる。高音は真っ直ぐ突き抜けるような爽快感がある。解像度はかなり高いが、27万円という値札に見合ったものではない。管弦の表現は中々良い。弦楽器は濃く太く描くタイプの音で、原音忠実ではないが音楽の聴きどころをヘッドホンから提示されているような感覚で楽。管楽器はとにかく派手。聞いていて楽しいが、演出が過剰と感じることもある。音場は横に非常に広く、一聴して密閉型と思えないほど。奥行きや上への広さは悪くはないが、横の広さのために相対的に物足りない。音色は寒色系。キレ・スピード感は中々良い。低域がもう少しタイトだったら更に良かっただろう。聞き疲れはしやすい。

 FOSTEXの密閉型フラッグシップヘッドホン。初代th900との違いはリケーブルできるかどうかというだけで、実際初代をFOSTEXに送ると5万円でMK2にアップグレードしてくれるようだ。音は「THE昔の日本のハイエンドヘッドホン」という印象。派手で演出的で楽しい。しかし、値上げされすぎて現在では27万円というとんでもない値段になってしまっている。そうなるとdca e3、hifiman he1000seなどの強力なヘッドホンたちが視野に入ってくるしそれらと戦うのは流石に厳しいように思う。値段を考えなければ音も見た目も魅力的なヘッドホンであることは間違いないので、是非一度試聴してみることを勧める。また、セールだとかなり安く手に入る(16~22万円ほど)のでそれらを狙ってみるのも良いと思う。

☆ TH900 mk2の良いところ

・質の良いエネルギッシュな低域

・明るく楽しい演出的な音

・分かりやすい音

★ TH900 mk2の良くないところ

・現在の値段に見合った音ではない

・原音忠実から遠く離れている

【装着感】

 良好。イヤーパッドが深く、耳が全く痛くならない。少しだけ重いのが玉に瑕だが、10万円以上の高級ヘッドホンとしては標準の範囲だろう。

【その他】

 遮音性は低く、音漏れもかなりある。デザインは良い。和風で豪奢。携帯性は普通。

th900mk2:https://amzn.to/402dLDc

色々と派手なヘッドホンです

 

shure kse1200のレビュー

【スペック】

メーカー:shure

発売年:2018年

再生周波数帯域:10Hz~50000Hz

参考価格:205,700円

形状:カナル型

特記事項:静電型ドライバー

【評価】

音質:92点 装着感:4 遮音性:5 音漏れ:5 デザイン:4 携帯性:1

オススメ度:4

【総評】

 音の傾向は低音寄りのドンシャリ。低音は重く深く沈み込むが、立ち上がりの速さが尋常でなく全くもたつかない。中音は非常にクリアで鮮やか。その上密度や色彩の豊かさも十分あり、聞きごたえのある音。高音は伸びるが、容赦無く刺さる。タ行もサ行も痛い。解像度は値段なりに高いが、それ以上に解像感の高さに目が行く。ここまで鮮やかな音はそう無いだろう。管弦の表現は独特だが良い。弦楽器は細かい音の粒子を敷き詰めたような鳴り方でなるほど静電型かといった感じ。管楽器は元気だがかなり刺さる。音場は独特。ぐるりと扇状に音に囲まれるような感覚があり、自然ではないが楽しい。音がそこに配置されている、というホログラムのような実在感がある。音色はニュートラル。キレ・スピード感は最高。ドライバーの特性なのか、ここまで早い音のイヤホンは中々見ない。聞き疲れのしやすさはそれなりにある。

 shureの静電型フラッグシップイヤホン、kse1500の廉価版。廉価版と言ってもイヤホン本体は1200と1500で変わらないので自前のdapがある人はお買い得。静電型というと普通は線の細い音なのだが、1200は堀りが深く力強いドンシャリといった感じ。それをわざとらしい味付けと感じさせずにむしろ音源の情報を1200なりの解釈でスッと出してくれるような感覚があるのはshureの音作りの巧さか。総合的に見ると、専用アンプでの駆動・リケーブル不可などの面倒な点があり、聞き疲れのしやすさもあり万人に勧められるものではない。しかし、20万円という価格を考えても優秀な解像度と分解能と電の速さに力感を加えた独特のノリの良さ、派手ながら大味にならない繊細な表現力には強い魅力があり、個人的にはかなりお気に入りの機種。

☆kse1200の良いところ

・価格の水準を満たした高い基本性能

・フルレンジ静電型をイヤホンをして気軽に持ち運べるロマン

・非常に高い遮音性。この遮音性と音質を両立する機種を他に探すとカスタムくらいしか無いだろう。

・静電型の弱点とされがちな低域の力感の無さを克服し、kse1200ならではの魅力的な低音となっている。

★kse1200の良くないところ

・専用のアンプ(タバコ箱くらいのサイズ)が必要

・専用アンプとの接続にラインアウトを使うが、合わせるプレイヤーによっては音割れしてしまう(その場合はフォンアウトで音量を調節して接続)

・リケーブル不可

・高音域が刺さる

【装着感】

 悪くないが、ケーブルが回らないためse846よりケーブルが邪魔に感じやすい。また、耳に異物を入れているという感覚が少しある。

【その他】

遮音性は素晴らしい。これより遮音性が高い有線イヤホンはEtymoticくらいだろう。音漏れはかなり少ない。デザインは非常にシンプル。高級感は無い。携帯性は良くない。専用アンプがやはり嵩張る。

kse1200:https://amzn.to/3ZciWQC

密閉型静電システムは珍しいですね

 

【雑記】ポータブルSTAX(ポタックス)のやり方

こんにちは、⑦です。今回はSTAXをポータブル運用したいという人に向けての謎記事です。方法としては主に3つあります。

①srs-002を買う

 これが一番簡単です。srs-002というのはSTAXが出しているイヤホン+ポータブルアンプのセットなのですが、小型ながら解像度が高く繊細で優美な音で良かった記憶があります。電池を入れて携帯するもよし、ac電源に繋げて据置運用をするもよし…という中々に器用な機種です。難点としてはアナログのセットなので別にDACが要ること、専用カバーを付けないとまあまあ音漏れが激しいことが挙げられます。

srs-002:https://amzn.to/3EKylR5

srm-d10(mk2)を買う

 イヤホン型じゃ物足りないよ!という人はSTAXの現行ポタアン、d10が良いでしょう。大きさは大きめのモバイルバッテリーくらいで、プロバイアス端子が一つついています。DACを内蔵しているのでスマホとd10があればSTAXのイヤースピーカーを簡単に聞けちゃいます。難点としてはそこそこ高価(11.8万円ほど)なところが挙げられますね。

srm-d10 mk2:https://amzn.to/3YhIjA1

③srd-x professional+諸々のアクセサリーを買う

 上記2つの方法には大きな弱点があることには既にお気づきでしょうか?そう、これらのやり方だとノーマルバイアスの機種が聞けないのです…!ノーマルバイアスというのは古めのSTAXで使われていた方式で、プロバイアスと比べて掛ける電圧が低いのが特徴です。そこで、srd-x professionalとモバイルバッテリーと12v昇圧ケーブルと極性変換アダプター、RCAケーブルを導入します。するといつでもどこでもノーマルバイアスでもプロバイアスでもSTAXを携帯できるようになります!難点としてはsrd-x proは古いアダプターなのでオークションサイトなどで入手する必要があること、壊れた時にSTAX社で修理できないこと、ケーブルが多く本体もやや大きく嵩張ることなどが挙げられますね。しかし…この方式にはロマンがあります。そして安価です(総額2~3万円くらい)

モバイルバッテリー:https://amzn.to/3YReyWV

12v昇圧ケーブル:https://amzn.to/4jLf158

極性変換アダプター:https://amzn.to/42xvu7f

rcaケーブル:https://amzn.to/3Sg0BOt

 

以上です。enjoy potax!

伝統的なポタックスです

 

【広告】ROSE TECHNICS DISTANT MOUNTAINの紹介【PR】

※本品はROSE TECHNICS様から提供していただいたものです。

【スペック】
メーカー:ROSE TECHNICS

発売年:2025年
再生周波数帯域:20Hz~20000Hz
参考価格:11800円
形状:オンイヤー型
特記事項:
【評価】
音質:☆☆☆☆★(5段階評価)  遮音性:なし 音漏れ:なし デザイン:5 
【総評】
 音の傾向はドンシャリです。低音は柔らかく響くような質感です。量感が少なくスッキリとしています。中音はソフトで優しい音です。うたた寝をしているような心地良さがあります。高音は中低音の雰囲気から打って変わって硬めでキラリとした質感ですね。程よいアクセントとなって楽しいです。管弦の表現は中々ユニークです。管弦共に細かい表現よりも雰囲気を重視する感じで、音楽そのものをうっとりと楽しむことが出来そうです。音場は頭の中にすっぽりと収まるような感じですね。音色は暖色系です。聞き疲れのし易さは普通だと思います。

 レトロと未来を融合させたようなシックでエレガントなデザインが目を引く美しいヘッドホンです。どこかレトロな雰囲気を感じさせる懐かしく優しい音で、難しいことを考えずに音楽を楽しもうという気持ちにさせてくれます。

◎DISTANT MOUNTAINの良いところ

・美しいデザイン

・レトロの名機を彷彿させる優しい音

【装着感】

 かなり側圧が強めですね。軽さのためか頭頂部への負担は少ないです。
【その他】
 遮音性は・音漏れ耐性は低めですが、形状を考えると仕方ないですね。デザインは文句無しに素晴らしいです。コレクションの中にもここまで美しい機種は殆ど無いですね。

distant mountain:https://amzn.to/4lXfrY6

エレガントなヘッドホンです

 

STAX sr-xmk2のレビュー

【スペック】

メーカー:STAX

発売年:1972年

再生周波数帯域:30Hz~ 25000Hz

参考価格:22000円
形状:オンイヤー

特記事項:2ミクロン膜、ノーマルバイアス、sr-xシリーズ

【評価】

音質:90点 装着感:2.5 遮音性:1 音漏れ:1.5 デザイン:2 携帯性:1.5

オススメ度:4

【総評】
 音の傾向はやや高音寄り。低音は締まった質で弾むが軽く、アタック感に欠ける。そのため上質なDDのような密のある表現は出来ない。中音域は非常に透明感が高く、艶やかかつ伸びやか。ここは静電型らしい。高音域はカッチリした硬めの音でキラキラしている。抜けも良い。解像度は値段を考えると驚くほど高い。細部まで明瞭に聞き取れる。音場は狭めだが抜けが良く、見通しの良い感覚がある。音色は寒色系だが僅かに温かみも感じる。切れ・スピード感は中々。アタック・リリース共に優れており所謂”速い音”なのだが、アタック感の無さがやはり気になることはある。音圧はかなり弱め。聞き疲れは少ない。

 staxの現行フラッグシップsr-x9000の祖先、sr-x…の後継機。偉大なる初代と”音の顕微鏡”として名を馳せたmk3に挟まれた地味な機種。音は全然地味でなく、薄いイヤーパッドとgradoのような形状から来るダイレクトな音には爽快感と味わい深さがあり楽しい。個人的にはstax特有のナチュラルな音を多少犠牲にして楽しさに振り切った意欲作だと感じた。しかしその分他のレトロSTAXと比べるとやや大味。普通のレトロstaxが欲しいならsr-5、sr-x mk3あたりを選んだ方が良いだろう。

☆sr-x mk2の良いところ

・キレキレ

・スッキリとした見晴らしの良い音

・高い透明感

★sr-x mk2の良くないところ

・普通のSTAXらしさはない音

・低域の力感に欠ける

・やや高域の繊細さが足りない

【装着感】

 微妙。側圧は弱めだが、イヤーパッドの薄さで耳が痛くなりやすい。また、重い。
【その他】

 遮音性は無い。音漏れはかなりある。デザインは無骨と捉えるか古臭いと捉えるかで評価が変わるだろう。携帯性は悪い。ケーブルが太い上、専用のアンプが必要となる。

 廃番。後継機は色々あるが、現在はsr-x1、sr-x9000が売られている。

sr-x1:https://amzn.to/42boMnj

STAXはレトロでも安定して音が良いですね

 

beats solo hdのレビュー

【スペック】
メーカー:beats
発売年:2009年
再生周波数帯域:不明
参考価格:22838円
形状:オンイヤー型
特記事項:DJヘッドホン
【評価】
音質:42点 装着感:3 遮音性:3.5 音漏れ:3 デザイン:1 携帯性:5
オススメ度:1
【総評】
 音の傾向は低音寄り。低音は量感がかなり多く、膨らんでぼやけた質感。中音は不明瞭で薄く曇った質。高音は全く伸びず、煌びやかさも無く地味。丸められているのが直ぐ分かる。解像度は値段を考えても驚くほど低い。値段が四分の一ほどのaurvana live!やk240の方がまだ良い。管弦の表現は微妙。弦楽器は暗く曇った音で「コレジャナイ感」がかなりある。管楽器は大味で雑。その割に力強さが無い。音場はかなり狭く平面的。音色は暖色系。キレ・スピード感は微妙。レスポンスが悪い感じ。聞き疲れのしやすさは普通。

 betas mixir、beats pro等のビーツのヘッドホンは普通に音が良かったため、どうしてビーツは音が悪いといった扱いをされているのか長らく不思議だったが、このヘッドホンを聞いて一発で理解できた。低音寄りのモコっとした音で基本性能が非常に低い。ビルドクオリティも悪い。これでは信者向けファッションアイテムと揶揄されるのも納得だ。
☆beats solo hdの良いところ

・ビーツらしさが詰まっている

★beats solo hdの良くないところ

・低い基本性能

・安っぽい作り
【装着感】

 普通。軽いがかなりイヤーパッドが小さく側圧が強いため良くはない。
【その他】
 遮音性・音漏れ共に並み。デザインは2万円するとは到底思えない。携帯性はヘッドホンとしてはかなり良いと思う。コンパクト。

 廃番。同じ名前が付いた機種に beats solo 4がある。

beats solo4:https://amzn.to/426TcFW

ある種最もビーツらしいヘッドホンかもしれない